お陰様で、新しいアルバムを、来月発表できることになりました。
今回レコーディングをしているとき
小学一年生のころのことを思い出しました。
一年生の夏休みに
毎日学校のプールに通っていたのですが
水がこわくて仕方ない私は、まだ伏し浮きができず
毎日が暗黒の日々でした。
日々は正確にやってくるし
プールには必ず行かなければならない。
母親に笑顔で「いってきまーす」と言って家を出た後は
ずーん、と漬け物石が背中に乗ったような気分で
学校へ行っていました。
それで、夏休みも終わりに近づいた頃
かわりばんこでプールの担当が回ってきた
ちりちりパーマのふくよかな女の先生に
「寝るようにしてごらん」
と言われて、半信半疑でそのようにしてみたら・・・
浮いていたのです!
生きていて、あんなに嬉しかったことはなかったです。
今回のレコーディングは
スタジオとエンジニアさん、ピアノ調律師の方は
前回のアルバムと同じ方にお願いできて
大・安心だったのですが
録音期間中に気管支炎になってしまいなかなか治せず
自分が立てた段取りのおかげで今回はしめきりもあったので
気分的に、何か追い立てられるような感じになってしまいました。
そんな中、ピアノだけを録音する日になりました。
ピアノの前に座ると前方にモニター画面があって
そこにはエンジニアさんが見えるのですが
その日はピアノの調律師さんもいらっしゃいました。
何回か、がんばって弾いてしまい
これが私の限界か・・・とうなだれていた時
モニター画面に、そのお二人が
すごく和んだ感じで楽しそうに座っておられるのが見えて
天使が二人いるように見えました。
それだけ、私がこのお二人を信頼しているからだと思いますが
その時、
「この世の美しいことを信頼している人達が
とても楽しそうに聴いてくれている」
と分かったのです。
そして何も考えずに弾いてみました。
そうしたら、その曲をなぜ作ったのか
どうして今ピアノを弾いてるのか
ふわーっと見えてきて涙が止まらなくなりました。
ふと気付いたら曲が終わっていて
モニター画面を見たら相変わらず天使のお二人は
楽しそうに和んでおられました。
その時の感覚と
プールで伏し浮きが出来たときの感覚が
なんとなく似ていたのです。
ひとことで言うと、「世界を信頼した瞬間」だったように思います。
自分の演奏は、客観的に聴くと
いろいろ反省点もありますが
かけがえのない「今このとき」を録音できたと思います。
そのように導いてくれて
心をひとつにして演奏してくれた共演ミュージシャンに
感謝の気持ちでいっぱいです。
3月18日(日)は東京のサンジャック(14時開演)で、
5月3日(祝・木)は大阪四天王寺のクレオ大阪中央(18時開演)で
リリースライブをします。
これからライブに向けて楽しみに準備にかかります。
みなさま、ぜひお越しください。